「競技用」という規制を。

ゴルフの長い歴史のなかで、様々なゴルフクラブの規制(用具規制)が、変更されたり追加されたりした。
それはクラブ開発が進むなかで「ボールの制動」を司るゴルフクラブが、プレーヤーの技量向上に必ずしも適さない用具として進化を遂げてしまったと判断された場合に起こった、というのが私見である。
クラブを使ってボールを打ち放ち、また転がして、カップと呼ぶ地面に穿たれた穴(ゴール)にボールを収めるという作業をおこなうゴルフは、まずはボールという用具ありき、そして「14本」という使用本数制限のあるゴルフクラブという打球用具の一本一本に、それぞれの特性を持たせて、その時点に於けるボールが置かれた場面場面に対峙していくスポーツである。
ゆえに、それぞれのクラブの飛距離、どれだけのスピンをボールにかけるか、その飛球をコントロールできるか等、プレーヤー個人のスキルや技術によって為される「ボールの制動」に、用具そのものが、その個人のスキルの範疇を凌駕してしまえば、それは明らかにゴルフがスポーツとしての競技性を失ってしまい、興味深いスポーツでは無くなってしまうとも言える。
つまり、飛ばすための肉体のスキルアップや、飛球をコントロールするための練習が意味を為さなくなってしまうのである。

現在ゴルフが抱えている問題の一つに、用具の進化によって、飛距離が大幅に出るようになったということがある。これは、今後の競技ゴルフ(プロゴルフツアーのみならず倶楽部に於ける月例競技なども含む)に、徐々に、しかし確実に、大きな影を落とす要因となり得るだろう。その理由の最たるものは、用具の進化によって飛距離が大幅に伸びたことによって、相対的にゴルフ場が短くなり過ぎてしまうことで起こる、『ホールの短尺化現象』に他ならない。
今から数年前、ウッドクラブの反発規制や長さ制限が起こり(飛距離増大の制御)また、フェース面の溝規制などが起こった。しかし、ここで私の考えを述べさせて頂けば、いま最も規制を要する点は『飛距離追及型の用具』に更なる一石を投じること。それはボールに対する規制も然り、クラブに対する規制も然りである。

そこで提案がある。
例えば、ゴルフクラブの重さ。少なくとも競技ゴルフに於いては(男子60歳以下の競技ゴルフと定義しても良いだろう)クラブの総重量(一本のクラブの重さ)を「380g以上かつ580g以下」に規制する。併せて、長さに対して「43インチ以下」といった規制を加えるのである。長さに関しては、「60度測定法で測定したとき」など測定方法にも規制を加えたい。
また、これは予測だが、現在のボールに規制が加わらないと仮定すれば、上記「重量の制限」と「長さの制限」を新たな規制として施せば「使用本数制限」にも、現在の14本から12本あるいは10本などに見直すべき点が生まれるだろうと考える。

そもそも、ウッド系クラブのクラブヘッドを「木製に限る」と断ずれば、全ての問題点は解消されるような気もする。。。だいたい名称が「ウッド」なんだから、木でしょ。
職人技とも言える木工製品を、鋼鉄を使った工業製品にしたのは如何なものだろうか。

 

 

【Gスタジオ&合田洋ゴルフクリニック】

2018

以前にも書いたが私には4人の子供達がいる。つまり私は、6人家族のオヤジである。
家族の仲は極めて良好。私は知らなかったのだが、4人兄弟が時々集合して駅前の居酒屋などで兄弟水入らずの酒宴を開いたりしているそうである。そんなときはオヤジやオフクロが邪魔者なのは、子供として健全の極みなのではなかろうか。
無論、夫婦仲も良好である。夫婦仲については、この4人の子供達が総じて「理想の夫婦」と評するくらいだから本当に好いのだろうと思うが、当の我々夫婦にとっては当たり前すぎて、いまいちピンとは来ていない感じである。

長男は公務員として就職して十年にもなる。既に立派な大トラとなっていて、この長男と時々酒を飲むのは私の楽しみのひとつだ。
長女は二年前から看護師として病院に勤務していて、彼女が二十歳を迎えるころからオヤジと娘の関係は非常に良好なものとなっている。次女は今年の3月で看護師の学校を卒業する。既に就職先も決まっているが、上記長女とは裏腹に昔からオヤジに優しい娘だった。この二人の娘達は大変頼れる存在に成長しつつあることに疑いはない。
次男は昨年就職しているが、兄貴の後を追ってなのか同じ公務員である。「男子三日会わざれば刮目して見よ」とはよく言ったもので、成長著しい闊達とした男児となっている。

この子供達が小さい頃には、まずは親の話を聞かせることが大切だったが、昨今に至っては、我々夫婦が彼らの話に耳を傾ける場面のほうが多く、請われでもしない限り口を挟む機会が少なくなった。
べつに「老いては子に従え」を意識して実践しているわけでもない。そもそも我々夫婦とてまだそれほど老いてなどいないのだが、子供達は成長したし、彼らの近況や考え方の変化、また、嬉しかったことや辛かったことなどを聞いているのが楽しくあるということである。

さて2018年を迎えるにあたり合田家は、この6人の家族が揃って、大変賑やかな年末年始を迎えた。
やはり以前にも書いたが、我が家族の正月は、近隣の小高い丘に鎮座する医王山という不動院から、家族みんなで初日の出の御来光を拝するところから始まる。子供達がほんの幼少の頃から、そこまで皆でランニングで上がる(女房だけは後から車で追いかける)のを元旦の恒例行事としているのである。
子供達が小さい頃は、その往復3キロ弱の距離が彼らにとって中々長い距離だったが、今に至っては非常に短い距離となった。
そのじつ私にしてみれば、ちょっと短か過ぎる距離なので、今年は少し早めに家を出て、5キロほど遠回りをしてから子供達の待つであろう不動院に向かった。
日の出の10分程前に不動院に到着してみると、はたして子供達は4人とも既に到着を遂げていた。やがて女房の車も到着し、家族みんなで今年の御来光を拝した次第である。その後、息子はランニングに出かけた。息子も走り足りないと感じていたのは言うまでもない。

ところが、そこで娘二人から叱責を受けてしまった。
「みんなで走るのが大切なんだからダメだよ!おとう。お兄も“協調性がない”って怒ってたよ!」ということである。

2018正月早々、子供達から一本取られてしまいました。
そういえば、かつて、坂道の途中でヘバってしまった次男を、長男が背負って走っていたこともあった。
彼らにとって、初日の出の御来光を拝することが家族の恒例行事なのではなく、そこに至る道程までを含めてが恒例行事。みなで一緒に家を出発して、互いが互いをフォローし合いながら走り、家族みんなで一緒に御来光を拝む。その一連の流れをこそ彼らは大切にしたいと考えていたのだ。それは、「形」だけではなく「過程」をも大切にしたいという思いである。

事実として子供達に怒られはしたが、結果的に、親として、ことのほか嬉しい出来事であったことは確かである。

 

 

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御陰様で。

レッスンに従事して既に11年が経った。既に御聞き及びの御方も多かろうと思うが、小生のレッスン本が出版された。

小生のレッスンは、アマチュアの方、主にアベレージプレーヤーや初心者の方にゴルフを如何に伝えるかに重きを置いている。依頼を受けて彼らの思いに自分自身が納得すればプロゴルファーのコーチをしたりジュニアも診るが、主たるレッスンはアベレージクラスや初心者クラスの方へのレクチャーであり、ゴルフに悩みを抱いている方を如何に導くかにこそ使命感を持っている。
無論、今般の出版も、そういった方々へ「ゴルフの基本的な考え」を御伝えし、かつ「ゴルフの本質」を御伝えするなかで「ゴルフの本当の楽しさや面白さを知って頂きたい」という小生の思いが、日本経済新聞出版社さんに届いたと考えている。

本書の「あとがき」にも書いたが、この本は確かにアベレージプレーヤー脱却のノウハウ本である。
が、実は、少々ならずとも文章や構成、その言葉の使い方などに工夫を凝らしてある。それは、サラッと読めばアベレージプレーヤー用だが、じっくり読みこめば可成りの上級者にも今後のプレーに必ず役に立つという、立体的な作りになっているということである。無論じっくり読みこめば、プロゴルファーとて充分に役に立つ。
つまり、サラッと読めばスルッと頭に入る内容だが、繰り返し読めば読むほど深みが出てしまう内容だと言える。
アベレージクラスのアマチュアの方が読めば、笑いながらスッキリと気持ちよく頭に入るが、プロゴルファーやシングルハンデのアマチュアが読むと難解な内容となって跳ね返り、何度読み返しても理解することさえ難しい可能性が高い。ということで、シングルプレーヤー以上のゴルファーの方が、本書を手にしたときの注意点を記す。

『己に照らし合わせつつ読み解くべし。さすれば今後に光明を見出せると心得よ。その一条の光を頼りに、己を磨くが賢明なり』

本当に、面白い本が書けたと思っている(笑)

 

 

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すっかり御無沙汰

約3カ月にも亘り、自らのブログ更新を御ざなりにしていたのには理由がある。
じつは小生、このたびレッスン本を出版できることと相成った。発売開始は、再来月は9月の頭で御座る。
日本経済新聞出版社からの発刊で、バタバタとしていたが、だいぶ落ち着いてきた感じ。特にゲラと呼ばれる全文のチェック作業は大変でした。一冊の本を何回も読み返すに近い作業だったからである。
出版社の編集者は、毎日のようにこういった作業をしているのかと思えば、彼らの御苦労をしのぶばかり。あらためて出版物を作成される編集者の皆さんに感謝の気持ちが湧きあがった。
みなさんには不思議に感じられることかもしれないが、小生、ジャーナリストの方々や、編集者の方々、および執筆活動等に勤しまれている方々の友人が多い。いずれも自分がツアー転戦中に知り合った方々だが、だからと言って小生以外のプロゴルファーが皆、そういった方との交流があるかと言えば決してそんなことはない。その理由の最たるものは、小生が長年、高橋勝成プロと一緒にツアー転戦を行っていたからだと言えるだろう。勝成さんは、当時から、ことのほかメディア関係の方々との交流を大切にし、その勝成さんと同行していた小生も、同様に彼らとの交流を結べたという次第があった。ゆくゆく小生の場合、交流というよりも交遊になってしまい(笑)それがいまだに続いているわけである。
だが、そもそも彼らとの出会いを作ってくれたのは勝成さんだ。振り返ってみれば、高橋勝成プロには感謝の言葉しかない。

高橋勝成、懐かしい名前である。かつて『マッチプレーの鬼』とも呼ばれた名プレーヤー。アマチュアゴルファーでも壮年期を越える方なら、勝成さんの名前を知らない人などいないだろう。
勝成さんからは技術的なことは何も教えて貰えなかったが、ツアーでの戦い方や練習ラウンドの仕方、ツアー開場への移動から宿泊先をどのように選択するかなど、本当に多くのことを教えて頂いた。小生のゴルフ人生に於ける恩人とも言える存在である。
優しい笑顔が印象的な人だが、ことゴルフに対しては本当に鬼のような人だった。ここまで練習するか!?というほどの練習の虫で、その姿は丸で、自分自身を自信の塊に変えたいかのような鬼気迫るものがあった。松山英樹くんも練習の虫と聞くが、松山くん曰く「安心したいから練習するんです」だが、勝成さんの場合、松山くんのそれとは違うように思う。追い込み方が尋常ではなかった。練習に没頭する勝成さんは、プロの小生の眼から見ても「人」には見えなかった。
『努力と自信』という言葉を勝成さんは好み、ファンからサインを求められれば必ず、この言葉を添え書きとし、またこれも必ずだが、サインをした色紙を御返しするとき「ありがとう御座います」と笑顔で微笑んだ。誰よりもファンを大切にするプロゴルファーである。
かつて、勝成さんから「ゴウちゃんは失敗を悔やみ過ぎたり自分を卑下し過ぎたりするところがある。自分のことだけは褒めて讃えて伸ばさなければダメなんだよ。上手くいったら、俺ってスゲェ~ってふうにね」と度々言われたが、小生自身、情けない自分のゴルフをそんなふうに考えることだけは出来なかったのが悔やまれる。

高橋勝成。マッチプレーの鬼は、己に優しく己に厳しい人である。

 

 

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左腕の動き

たまにはレッスン物を書かないと、ということで、書く。
題名にある「左腕の動き」を文章にて詳細に述べれば少々難しくなるのだが、大切な話である。出来るだけ簡潔に参る。

ゴルフクラブをスゥイング軸に対してターンさせていくという考え方は極めて重要だ。無論、軸は、身体に存在させるべきものである。
先ず『背骨』。上半身を主体に捉えると『背骨』となる。これは余りにも周知の軸。ゴルフ歴がある人なら誰でも知っていることだろう。そして次に、下半身を主体に捉えた場合の『右股関節』。これが二つ目だ。無論、右打ちの場合だ。左打ちは、逆。
そして三つ目となるものは、腕を主体として捉えた場合の『左腕』である。両腕は、人間の骨格を踏まえたとき、これもまた背骨を軸としたターンが起こるが、ゴルフスウィングそのものにクラブフェースのターンが僅かにでも起これば、左腕を軸線としたゴルフクラブのターンは必須となる。この振り抜きの動作については「回外と外旋」という言葉で表すのが的確だろう。
結論としてゴルフスゥイングは、上記の「三つの軸」が関連し合うことに因って成り立っている身体運動だと言える。

さて、先ずは「回外」という動作。医学用語である。紐解く。

回外:前腕軸を中心にして、手掌を上に向ける運動
回内:前腕軸を中心にして、手掌を下に向ける運動

上記は肘関節の動作であるが、主題が「左腕の動き」である以上、肩関節の動き「外旋および内旋」の説明も必要だ。

外旋:体の前方に向かうある部分を外方へ向ける運動。
内旋:体の前方に向かうある部分を内方へ向ける運動。

肩関節の外旋運動の場合、肘を屈曲して前方に伸ばした前腕を外方へ移動する動作をイメージすると分かり易いだろう。
さて、いよいよ小難しくなりつつあるので、ここでゴルフスゥイングに於ける「左腕が軸となるゴルフクラブのターン」を身体動作の観点から端的に述べてみる。

『左腕は、テークバックでは出来るだけ回内運動を行わず、振り抜きで回外運動と外旋運動が複合的に作用される』、となる。

上記が『左腕』を軸としたゴルフクラブのターンの要諦。
これは今から10年以上も前に、私がツアー転戦をするなかで得るに至ったスゥイング軸の概念の一つである。
当然のことながらだが、だからと言って、この論理だけをアマチュアの方にレクチャーすることが私のレッスンなどではない。上記の言葉を幾ら簡潔に話しても多くのアマチュアの方には面白くもなんともない話だし、幾ら動作の説明を繰り返しても多くのアマチュアの方には何の意味をさえ持たない話だろう。
私自身、何度か雑誌や新聞の記事に紹介して来たし、過去にブログなどにも書いて来た話でもあるが、実際のレッスンでは、スゥイング軸を含めた様々な概念を下地として、アマチュアの方が吸収し易い話でのレクチャーをと心がけている。

 

 

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マスターズウィーク到来

桜も開花を遂げ、すっかり春めいている。さて、今年もマスターズウイークが近づいて来た。
昨今の日本ではマスターズの開幕と共にゴルフシーズンに突入という雰囲気がある。

1978年から、マスターズトーナメントだけはTVに噛り付いて観戦し続けてきた私だが、東京にスタジオをオープンしてからは、その楽しみは見事に奪われている。それは、会社で借りた東京の社宅の部屋にTVを設置していないからだ。
一年のうち約350日をスタジオに詰め、経営を軌道に載せようと頑張っているなかで、TVを観る時間などは惜しいという観点から、TVの無い部屋での暮らしが既に2年以上も経過した。。。時代錯誤も甚だしい話。誰が聞いても「時代錯誤」だと誹るだろうが、ここにきて、ちょっと頑張り過ぎた感は否めない。流石に疲れたきた自分を実感する今日この頃でもある。
しかし、そんな牢屋に入れられているような生活にあっても、世界のゴルフトーナメントには注目していて、ネットの情報を頼りに、その情勢は逐一仕入れるようにしている。それは、トーナメントプロたる自分を維持するためかもしれません。

さて今年のマスターズ。期待は、松山英樹の活躍である。
日本のみならず、世界中のゴルファーが松山英樹に注目しているのが今年のマスターズトーナメント。
待ち遠しかったこと、この上なしだ。今年は誰が勝つのか。

春の夢の祭典。開幕まで、あと僅かである。

 

 

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龍ヶ崎カントリー倶楽部 10番ホール

龍ヶ崎カントリー俱楽部で開催を予定していた2014年度(第47回)日本女子オープンゴルフ選手権が、急きょ琵琶湖カントリー倶楽部に変更になったことを知っている人は多いと思う。
巷に流布される話は様々だが、私の場合、正確な全ての経緯を知ってはいる。しかし、敢えて此処にクダクダと述べる必要はないだろう。何故なら、それは、もう過去のことだからだ。

さて、その経緯に至った「問題のホール」が、この10番ミドルホール。龍ヶ崎カントリー倶楽部が日本全国に誇るべきホールの一つであり、龍ヶ崎カントリー俱楽部を名コースたらしめているホールの一つでもある。
設計者である井上先生の、このホールを語るに「ティーショットはドローで攻め、2ndショットはフェードで攻める以外に、このホールを攻略する術は無い」と言ったことでも明らかなように、左サイドの丘状になった林と、矢張り右サイドの丘状になった林を縫うようにS字状にカーブしたフェアウェイが、強烈なアンジュレーションを持つ砲台グリーンへと続いていく。最大の特徴は「バンカーが一つも無いホール」にも関わらず、非常に難易度が高いという点だ。
そもそも龍ヶ崎カントリー俱楽部には120個ものバンカーが配置されているが、この10番ホールには一つも無い。
言い添えれば、120個というバンカー数は多い個数だが、17H中に120個が存在するわけだから、龍ヶ崎カントリー俱楽部が如何に「巧みにバンカーが配されたコース」であるかが伺える。

2017/ 2/15  9:35
2017/ 2/15 9:35

さてさて10番ホール。このホールの特徴を述べるに、メイングリーン(Oグリーン=右グリーン)の攻略を語らずにはおけない。
フルバック(黒ティ=419Y)から、グリーン中央より150Y地点までの距離は265Y。ティショットは、だいぶ打ち下ろしていくホールなので感覚的には250Yを打てば、ピンまで150Yの地点を確保できる。この地点を確保すれば、グリーン方向は概ねクリア。
つまり、2ndを打つ距離を150Y以下に出来れば、バーディを狙うことも充分に可能なホールになるということ。
また、ピンまで100Yの地点では、樹木はおろかバンカーさえ介在しないオールクリアのロケーションが眼前に展開する。
ここでの問題は、やや右に傾いた高めの砲台グリーンに打ち上げていかなければならないプレッシャーや、傾斜が強く複雑なアンジュレーションを持つグリーン面に穿たれたカップを狙い易いボールポジションの確保に悩まされるなどの点が挙げられる。
ピンポジションは総じて右端が難しく、特に右奥一杯にピンが切られたときには、まるで将棋の穴熊戦法を彷彿させる難攻の光景が写し出されるが、10番グリーンと8番ホールを隔てている樹木の枝葉模様が、このピンポジションであるときのグリーンの景観を美しくも彩ってくれている。ここは7番Hグリーン左奥のピン位置と併せて、龍ヶ崎カントリー俱楽部のパワースポットでもある。
じつを言うとコースが造られる前、この10番Hグリーン奥=11番Hフルバックティ左=7番Hサブグリーン右=8番Hティグランド右の場所には、古くからの街道に面した稲荷神社があった。コースが造られたとき10番Hティグランド後方に御移転いただいたが、そもそもが神域であった地帯であったことにも由来しているかもしれない。この地帯には少々ならずとも清浄な空気の流れを感じ取れる。
余談だが龍ヶ崎カントリー俱楽部に訪れた折には、ぜひ、10番ティグランド後方に御鎮座される稲荷神社への御参拝を御薦めしたい。

2017/ 2/15  9:49
2017/ 2/15 9:49

さて、この10番ホール左サイドの樹木群は度々であるが、いわゆる「空中ハザード」だとする向きがある。
しかし私は、斯様には微塵も思ってはいない。
何故なら、ティショットに於ける10番ホール左サイドに林立する樹木の殆どは、プレーヤーのレベルに応じたクロス(交差)したハザードに近い性質を持っているからだ。それは、ティグランドからはクロスバンカー然りのハザードだと言えて、勇気を持って越えていくを狙うべきハザードだと言える。
もし、クロスバンカー(越えていくべきバンカー)をアンフェアなハザードだと言うのなら、確かに龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホールの樹木はアンフェア極まりない障害物だと言える。しかし、だとすれば、如何なるコースの如何なるホール内に介在しているハザードは全て、そのコース内に在ってはならないものとなってしまう。
また、設計者である井上先生が、年月を経ることに因る樹木の生長度合いを考慮していなかったのではないか? という向きもあるが、それこそ愚問の最たるものではないかと考える。井上先生の叡智をナメて貰っては困るのだ。少し論点がズレるかもしれないが、開場当時から道具の進化著しい昨今、特にボールの進化は「コースの短尺化」にさえ繋がっている現在である。これを以ってしても、愚問であることを認められないなどとは言わせない。

2017/ 2/15  9:35
2017/ 2/15 9:35

龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホールのフルバックティからメイングリーン中央を直線で結んだとき、実際には400Yに満たない距離であることを知るだろう。しかもティショットが打ち下ろしのホールである。決して長いホールではないのだ。
また前述した通り、フルバックティからでも260Yを打てれば、左サイドの樹木の殆どは越えることが出来るし、それがフロントティともなれば210Yのキャリーボールをさえ放てば、左サイドに林立する全ての樹木を越えることも出来る。

問題は、自分が「どのあたりを越すことが出来るのか」という判断力と、眼前に迫る樹木群を前にして、自分のベストスイングを行うことが出来なくなってしまう点。すなわち、龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホール左サイドの林は、空中ハザードなどでは決してなく、じつは『メンタルハザード』の性質を持った樹木群なのである。

 

 

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ウェッジの選び方

先日、週刊ゴルフダイジェストの取材で、ウェッジの試打をしてコメントを述べるという仕事があった。
何十本ものウェッジを試打するのだが、打っていて、さて、このクラブ達の機能を、打ちながら実感できるプレーヤーが何人いるのだろうか? という疑問を持った。ウェッジに限らずゴルフクラブは、いま打った感覚が全てとは言えない。暫く使ってみて漸く、そのクラブの良さが分かって来たりするのがウェッジだったりもするからだ。
因みに私は、ウェッジに関してのみ言えば、単に試打でコメントが出来るプロゴルファーとは別格で、それは以前、ウェッジの製造販売の仕事をしていたなか、勿論、ウェッジの機能に於ける設計監修までをも手掛けていたからである。無論、クラブ設計のエキスパートと組んでの綿密なディスカッションを通じ、当時をして、伝説とまで呼ばれたウェッジを制作することが出来た。
つまり、自分で言うのも何だが、ことウェッジを見る眼に関しての私は、他のプロゴルファーの追随を許さないのである。

さて、ウェッジ選びでアマチュアゴルファーが大切にすべきポイントは、先ず第一に『顔』=フェース形状である。
これはプロゴルファーにとっても重要な要素で、ただしプロを含む上級者の場合、『顔』を形成するにあたるリーディングエッジからネックまでの流れを更に重要視することで、あらゆるライでの打球イメージを明確に映し出すことが出来るようにもなる。それが何故重要かと言えば、ウェッジは他のクラブに比べて遥かに、フェース面を極端に開いたりする場面がプレーのなかに多く現れるからだ。無論、立ち上がり部分の形状や厚み、更に言えば研磨具合、また、面取りなども重要だが、一般には『顔』という表現で包括できるだろう。
人間は感覚の生き物であるが故に、この『顔』が醸し出すイメージはウェッジ選びに欠かせない要素だと言える。

そして次に、上記『顔』選びに平衡して選ばなけらばならないポイントが、ソールの『バンスの高さ』である。
断っておくが、バンス角ではない。フェース面をスクエアにシャフトを垂直に立てたときの、リーディングエッジからバンスの頂点までの高さが、バンス高である。ウェッジは用途に応じて、このバンス高をこそ吟味する必要があるのだ。
ロフト角と一緒に刻印されているバンス角の表示は一つの目安にはなるが、実際に使われるソール面の幅などで、この『バンスの高さ』は幾らでも変わってしまう。同じバンス角でも、バンスの高さが変われば、機能そのものが違ったものになる。
ウェッジの機能に於いて最も重要だと言えるソールは、本当は、その形状(1)と、実際に使われる面の面積、そして『バンスの高さ』で選ばれるべきものである。
バンス高の何たるかを知らない人間は、ウェッジのソールを語ることなかれ。だいたい、メーカーが表示するバンス角だってイイ加減極まりないのが実状でもある。

些かならずとも難解な話になったが、ウェッジ選びに限らず、クラブ選びを語れば、一般ユーザーには難解な話になってしまうのは、ある意味、然りだと言える。優しく詳しい話を聞きたければ、私のところへ来て貰うしかない。
最後に、ウェッジ選びにあたる要点。上記に『形状(1)』と記した要点を、なるべく簡潔に述べる。

☆ソール形状は、ヒール側とトウ側のソール幅を見て、トウ側が広くなり過ぎていないものを選べば、そうそうハズレは無い。

総じてソール形状は、ヒール側が狭くトウ側が広いものが多いが、巷に繁茂するが如きウェッジのなかにも、上記☆の如く設計されたものが必ず存在する。代表格は、キャスコのドルフィンウェッジ、ボーケイのアメリカモデル、クリーブランドの松山英樹モデルなどが、それに値するし、先般見かけたヤマハのウェッジも好いものだった。

奇をてらっただけで、意図された機能も糞もないウェッジを作って実しやかに販売しているメーカーは腐るほどある。
騙されることなく、ちゃんとしたコンセプトに基づいた設計が施されたウェッジを手にしたとき、あなたのショートゲームは確実に進歩を遂げるだろう。それほど、ウェッジ選びは重要なのである。

 

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【Gスタジオ&合田洋ゴルフクリニック】

松山英樹は凄いヤツ。

ときどき聞かれる。「松山英樹と石川遼は、どちらが凄いの?」

私の見解を述べれば、そもそもどちらも天才的な素質を持ってはいたが、その天才性に関して言えば石川遼のほうが上だったように思う。高校時代の松山英樹が、ここまで活躍するプレーヤーに成長すると誰が予測し得たであろうか。
天才的なゴルファーは毎年のように台頭して来るし、丸山茂樹や池田勇太なども天才プレーヤーの一人。旧くは川岸良兼、もう少し旧くは現PGA会長の倉本昌弘さんも天才的素質を持っていた。
無論、天才にも色々と居て、凄い天才から底々天才、ショットの天才やパットの天才なんてのも居るはず。そんな歴史上の天才達と比べても、石川遼は間違いなく『逸材』と呼べる天才だったし、その素質の高さは他の追随を許さない。

しかし現在、石川くんにとって松山くんは、余りにも遠い「高みを歩む存在」だ。石川くん自身が、そう感じているはず。
松山くんは既に日本のゴルフ史上、最も優れたプレーヤーなのだ。
齢20台半ばにして、既に、である。しかも、この成長は今後も暫く続いていく。暫くは松山英樹が歩む後ろ姿を、今後に台頭する日本人プレーヤーは視界に入れることさえ出来ないだろう。
それほど松山英樹は、これまでの日本人プレーヤーが羨望の眼でしか見ることが叶わなかった「高み」を歩んでいる。

そんなスーパープレーヤーを誰と比べることが出来るだろう。
ローリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、ヒデキ・マツヤマ。この4人は、今期のUSPGAツアーのイチオシの存在。ステージが違い過ぎるのだ。

つまり、松山英樹は別格なのである。

 

 

【Gスタジオ&合田洋ゴルフクリニック】

My師匠

私に限らず、プロゴルファーには必ず『師匠』が存在している。
恐らく、プロゴルファーに限らずアマチュアでも、上級者であればあるほど必ず『師匠』と呼べる人間が存在するだろう。
無論これは、ゴルフに限らず、あらゆるスポーツの世界でも然り。
否、スポーツの世界ばかりでは無いはずだ。

唯一私が「プロ」という代名詞で呼んでいる人物は、宮本忠男を置いて他には居ない。宮本忠男は、かつての龍ヶ崎カントリー俱楽部の所属プロであり、高校を卒業して龍ヶ崎カントリー俱楽部にアシスタントプロとして入社した私を、徒弟制度的な観点から徹底的に鍛えたプロゴルファーであり、私の最も敬愛する友人の一人であり、私と女房の仲人でもある私の師匠だ。
宮本プロは昭和14年7月生まれの77歳。龍ヶ崎カントリー俱楽部で最初にプロテストに合格したプロで、昭和33年に龍ヶ崎が開場して以来、初代プロ=井川栄造の下で修行を積み、30歳のときにプロテストに合格した苦労人でもある。
そんな宮本プロを師匠に持った私の修行時代は、毎日のプロ室の掃除から始まり、師匠のクラブ磨きから靴磨き、洗車などは当たり前。マスター室業務と練習場の球拾いやキャディを熟すなか、それらの作業&業務の合間を縫って「練習させて貰う」というのが日常だった。
運転免許取得とマイカーはプロテストに合格するまでは御預けだったから、買い物や散髪などには全て自転車を漕ぐ。公然と練習できる日は、キャディにあぶれてしまう雨の日だけだったので、「長靴を履いて練習する研修生」と、他の社員にからかわれたものだ。なにしろ車を持っていないから、ゴルフ場が終わった後に近隣の練習場に行きたくとも行けない。そんな私に宮本プロは「朝、明るくなるのを待ってラウンドすればいい。夜、月明かりでも素振りが出来る。俺に黙って近所の練習場になんか行ったら必ず破門にする」と、とにかく自分で時間を作り龍ヶ崎カントリー俱楽部内で練習をしろ、と厳しかった。
プロ室の掃除や、自分のクラブの掃除、靴磨きなどを怠れば、私のクラブセットはゴミ捨て場に捨てられた。会社の業務が忙しいなどという言い訳は全く通じない師匠だった。

そういう師匠の御陰で自分の時間を作ることが上手になった私は、今でも、どんなに忙しい最中にあっても、定期的に宮本プロと一緒にラウンドをしたり、一緒に酒を飲んでは話をしたりする。
最近の酔っぱらった我が師匠は、度々「お前はゴルフは下手だったが根性だけは天下一品だった」と口にし、お前と出会えたことを神様に感謝している風のことまで口にするようになった。
歳だなぁ、プロも・・・(笑)
龍ヶ崎カントリー倶楽部でプロテストに合格したのは、宮本プロと私の二人だけ。師匠と私の『龍ヶ崎プロ会』は、きっと、どちらかが死んでしまうまで続くのだろう。

宮本プロ、いつまでも元気で長生きして下さいね。

 

 

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