すっかり御無沙汰

約3カ月にも亘り、自らのブログ更新を御ざなりにしていたのには理由がある。
じつは小生、このたびレッスン本を出版できることと相成った。発売開始は、再来月は9月の頭で御座る。
日本経済新聞出版社からの発刊で、バタバタとしていたが、だいぶ落ち着いてきた感じ。特にゲラと呼ばれる全文のチェック作業は大変でした。一冊の本を何回も読み返すに近い作業だったからである。
出版社の編集者は、毎日のようにこういった作業をしているのかと思えば、彼らの御苦労をしのぶばかり。あらためて出版物を作成される編集者の皆さんに感謝の気持ちが湧きあがった。
みなさんには不思議に感じられることかもしれないが、小生、ジャーナリストの方々や、編集者の方々、および執筆活動等に勤しまれている方々の友人が多い。いずれも自分がツアー転戦中に知り合った方々だが、だからと言って小生以外のプロゴルファーが皆、そういった方との交流があるかと言えば決してそんなことはない。その理由の最たるものは、小生が長年、高橋勝成プロと一緒にツアー転戦を行っていたからだと言えるだろう。勝成さんは、当時から、ことのほかメディア関係の方々との交流を大切にし、その勝成さんと同行していた小生も、同様に彼らとの交流を結べたという次第があった。ゆくゆく小生の場合、交流というよりも交遊になってしまい(笑)それがいまだに続いているわけである。
だが、そもそも彼らとの出会いを作ってくれたのは勝成さんだ。振り返ってみれば、高橋勝成プロには感謝の言葉しかない。

高橋勝成、懐かしい名前である。かつて『マッチプレーの鬼』とも呼ばれた名プレーヤー。アマチュアゴルファーでも壮年期を越える方なら、勝成さんの名前を知らない人などいないだろう。
勝成さんからは技術的なことは何も教えて貰えなかったが、ツアーでの戦い方や練習ラウンドの仕方、ツアー開場への移動から宿泊先をどのように選択するかなど、本当に多くのことを教えて頂いた。小生のゴルフ人生に於ける恩人とも言える存在である。
優しい笑顔が印象的な人だが、ことゴルフに対しては本当に鬼のような人だった。ここまで練習するか!?というほどの練習の虫で、その姿は丸で、自分自身を自信の塊に変えたいかのような鬼気迫るものがあった。松山英樹くんも練習の虫と聞くが、松山くん曰く「安心したいから練習するんです」だが、勝成さんの場合、松山くんのそれとは違うように思う。追い込み方が尋常ではなかった。練習に没頭する勝成さんは、プロの小生の眼から見ても「人」には見えなかった。
『努力と自信』という言葉を勝成さんは好み、ファンからサインを求められれば必ず、この言葉を添え書きとし、またこれも必ずだが、サインをした色紙を御返しするとき「ありがとう御座います」と笑顔で微笑んだ。誰よりもファンを大切にするプロゴルファーである。
かつて、勝成さんから「ゴウちゃんは失敗を悔やみ過ぎたり自分を卑下し過ぎたりするところがある。自分のことだけは褒めて讃えて伸ばさなければダメなんだよ。上手くいったら、俺ってスゲェ~ってふうにね」と度々言われたが、小生自身、情けない自分のゴルフをそんなふうに考えることだけは出来なかったのが悔やまれる。

高橋勝成。マッチプレーの鬼は、己に優しく己に厳しい人である。

 

 

【Gスタジオ&合田洋ゴルフクリニック】