龍ヶ崎カントリー倶楽部 10番ホール

龍ヶ崎カントリー俱楽部で開催を予定していた2014年度(第47回)日本女子オープンゴルフ選手権が、急きょ琵琶湖カントリー倶楽部に変更になったことを知っている人は多いと思う。
巷に流布される話は様々だが、私の場合、正確な全ての経緯を知ってはいる。しかし、敢えて此処にクダクダと述べる必要はないだろう。何故なら、それは、もう過去のことだからだ。

さて、その経緯に至った「問題のホール」が、この10番ミドルホール。龍ヶ崎カントリー倶楽部が日本全国に誇るべきホールの一つであり、龍ヶ崎カントリー俱楽部を名コースたらしめているホールの一つでもある。
設計者である井上先生の、このホールを語るに「ティーショットはドローで攻め、2ndショットはフェードで攻める以外に、このホールを攻略する術は無い」と言ったことでも明らかなように、左サイドの丘状になった林と、矢張り右サイドの丘状になった林を縫うようにS字状にカーブしたフェアウェイが、強烈なアンジュレーションを持つ砲台グリーンへと続いていく。最大の特徴は「バンカーが一つも無いホール」にも関わらず、非常に難易度が高いという点だ。
そもそも龍ヶ崎カントリー俱楽部には120個ものバンカーが配置されているが、この10番ホールには一つも無い。
言い添えれば、120個というバンカー数は多い個数だが、17H中に120個が存在するわけだから、龍ヶ崎カントリー俱楽部が如何に「巧みにバンカーが配されたコース」であるかが伺える。

2017/ 2/15  9:35
2017/ 2/15 9:35

さてさて10番ホール。このホールの特徴を述べるに、メイングリーン(Oグリーン=右グリーン)の攻略を語らずにはおけない。
フルバック(黒ティ=419Y)から、グリーン中央より150Y地点までの距離は265Y。ティショットは、だいぶ打ち下ろしていくホールなので感覚的には250Yを打てば、ピンまで150Yの地点を確保できる。この地点を確保すれば、グリーン方向は概ねクリア。
つまり、2ndを打つ距離を150Y以下に出来れば、バーディを狙うことも充分に可能なホールになるということ。
また、ピンまで100Yの地点では、樹木はおろかバンカーさえ介在しないオールクリアのロケーションが眼前に展開する。
ここでの問題は、やや右に傾いた高めの砲台グリーンに打ち上げていかなければならないプレッシャーや、傾斜が強く複雑なアンジュレーションを持つグリーン面に穿たれたカップを狙い易いボールポジションの確保に悩まされるなどの点が挙げられる。
ピンポジションは総じて右端が難しく、特に右奥一杯にピンが切られたときには、まるで将棋の穴熊戦法を彷彿させる難攻の光景が写し出されるが、10番グリーンと8番ホールを隔てている樹木の枝葉模様が、このピンポジションであるときのグリーンの景観を美しくも彩ってくれている。ここは7番Hグリーン左奥のピン位置と併せて、龍ヶ崎カントリー俱楽部のパワースポットでもある。
じつを言うとコースが造られる前、この10番Hグリーン奥=11番Hフルバックティ左=7番Hサブグリーン右=8番Hティグランド右の場所には、古くからの街道に面した稲荷神社があった。コースが造られたとき10番Hティグランド後方に御移転いただいたが、そもそもが神域であった地帯であったことにも由来しているかもしれない。この地帯には少々ならずとも清浄な空気の流れを感じ取れる。
余談だが龍ヶ崎カントリー俱楽部に訪れた折には、ぜひ、10番ティグランド後方に御鎮座される稲荷神社への御参拝を御薦めしたい。

2017/ 2/15  9:49
2017/ 2/15 9:49

さて、この10番ホール左サイドの樹木群は度々であるが、いわゆる「空中ハザード」だとする向きがある。
しかし私は、斯様には微塵も思ってはいない。
何故なら、ティショットに於ける10番ホール左サイドに林立する樹木の殆どは、プレーヤーのレベルに応じたクロス(交差)したハザードに近い性質を持っているからだ。それは、ティグランドからはクロスバンカー然りのハザードだと言えて、勇気を持って越えていくを狙うべきハザードだと言える。
もし、クロスバンカー(越えていくべきバンカー)をアンフェアなハザードだと言うのなら、確かに龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホールの樹木はアンフェア極まりない障害物だと言える。しかし、だとすれば、如何なるコースの如何なるホール内に介在しているハザードは全て、そのコース内に在ってはならないものとなってしまう。
また、設計者である井上先生が、年月を経ることに因る樹木の生長度合いを考慮していなかったのではないか? という向きもあるが、それこそ愚問の最たるものではないかと考える。井上先生の叡智をナメて貰っては困るのだ。少し論点がズレるかもしれないが、開場当時から道具の進化著しい昨今、特にボールの進化は「コースの短尺化」にさえ繋がっている現在である。これを以ってしても、愚問であることを認められないなどとは言わせない。

2017/ 2/15  9:35
2017/ 2/15 9:35

龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホールのフルバックティからメイングリーン中央を直線で結んだとき、実際には400Yに満たない距離であることを知るだろう。しかもティショットが打ち下ろしのホールである。決して長いホールではないのだ。
また前述した通り、フルバックティからでも260Yを打てれば、左サイドの樹木の殆どは越えることが出来るし、それがフロントティともなれば210Yのキャリーボールをさえ放てば、左サイドに林立する全ての樹木を越えることも出来る。

問題は、自分が「どのあたりを越すことが出来るのか」という判断力と、眼前に迫る樹木群を前にして、自分のベストスイングを行うことが出来なくなってしまう点。すなわち、龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホール左サイドの林は、空中ハザードなどでは決してなく、じつは『メンタルハザード』の性質を持った樹木群なのである。

 

 

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ウェッジの選び方

先日、週刊ゴルフダイジェストの取材で、ウェッジの試打をしてコメントを述べるという仕事があった。
何十本ものウェッジを試打するのだが、打っていて、さて、このクラブ達の機能を、打ちながら実感できるプレーヤーが何人いるのだろうか? という疑問を持った。ウェッジに限らずゴルフクラブは、いま打った感覚が全てとは言えない。暫く使ってみて漸く、そのクラブの良さが分かって来たりするのがウェッジだったりもするからだ。
因みに私は、ウェッジに関してのみ言えば、単に試打でコメントが出来るプロゴルファーとは別格で、それは以前、ウェッジの製造販売の仕事をしていたなか、勿論、ウェッジの機能に於ける設計監修までをも手掛けていたからである。無論、クラブ設計のエキスパートと組んでの綿密なディスカッションを通じ、当時をして、伝説とまで呼ばれたウェッジを制作することが出来た。
つまり、自分で言うのも何だが、ことウェッジを見る眼に関しての私は、他のプロゴルファーの追随を許さないのである。

さて、ウェッジ選びでアマチュアゴルファーが大切にすべきポイントは、先ず第一に『顔』=フェース形状である。
これはプロゴルファーにとっても重要な要素で、ただしプロを含む上級者の場合、『顔』を形成するにあたるリーディングエッジからネックまでの流れを更に重要視することで、あらゆるライでの打球イメージを明確に映し出すことが出来るようにもなる。それが何故重要かと言えば、ウェッジは他のクラブに比べて遥かに、フェース面を極端に開いたりする場面がプレーのなかに多く現れるからだ。無論、立ち上がり部分の形状や厚み、更に言えば研磨具合、また、面取りなども重要だが、一般には『顔』という表現で包括できるだろう。
人間は感覚の生き物であるが故に、この『顔』が醸し出すイメージはウェッジ選びに欠かせない要素だと言える。

そして次に、上記『顔』選びに平衡して選ばなけらばならないポイントが、ソールの『バンスの高さ』である。
断っておくが、バンス角ではない。フェース面をスクエアにシャフトを垂直に立てたときの、リーディングエッジからバンスの頂点までの高さが、バンス高である。ウェッジは用途に応じて、このバンス高をこそ吟味する必要があるのだ。
ロフト角と一緒に刻印されているバンス角の表示は一つの目安にはなるが、実際に使われるソール面の幅などで、この『バンスの高さ』は幾らでも変わってしまう。同じバンス角でも、バンスの高さが変われば、機能そのものが違ったものになる。
ウェッジの機能に於いて最も重要だと言えるソールは、本当は、その形状(1)と、実際に使われる面の面積、そして『バンスの高さ』で選ばれるべきものである。
バンス高の何たるかを知らない人間は、ウェッジのソールを語ることなかれ。だいたい、メーカーが表示するバンス角だってイイ加減極まりないのが実状でもある。

些かならずとも難解な話になったが、ウェッジ選びに限らず、クラブ選びを語れば、一般ユーザーには難解な話になってしまうのは、ある意味、然りだと言える。優しく詳しい話を聞きたければ、私のところへ来て貰うしかない。
最後に、ウェッジ選びにあたる要点。上記に『形状(1)』と記した要点を、なるべく簡潔に述べる。

☆ソール形状は、ヒール側とトウ側のソール幅を見て、トウ側が広くなり過ぎていないものを選べば、そうそうハズレは無い。

総じてソール形状は、ヒール側が狭くトウ側が広いものが多いが、巷に繁茂するが如きウェッジのなかにも、上記☆の如く設計されたものが必ず存在する。代表格は、キャスコのドルフィンウェッジ、ボーケイのアメリカモデル、クリーブランドの松山英樹モデルなどが、それに値するし、先般見かけたヤマハのウェッジも好いものだった。

奇をてらっただけで、意図された機能も糞もないウェッジを作って実しやかに販売しているメーカーは腐るほどある。
騙されることなく、ちゃんとしたコンセプトに基づいた設計が施されたウェッジを手にしたとき、あなたのショートゲームは確実に進歩を遂げるだろう。それほど、ウェッジ選びは重要なのである。

 

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