先日、某ゴルフ場主催のプロアマ大会に出たのだが、その折、素晴らしいアマチュアゴルファーとラウンドする機会に恵まれた。
プレー当初は少し緊張した趣きだった彼だが、ラウンドが進むなか徐々に落ち着きを取り戻され、歯切れ好すぎるショットでピンを攻める。そのゴルフには高いセンスを感じさせるものがあった。
バックティとフロントティという違いはあったものの、後半の9Hでは明らかに彼は私を意識したプレーをし出した。無論、私も彼の要望に応えたわけだが、じつは其処には何の会話も介在しなかった。眼と眼の合図というか、例えて言えば “相撲の立ちあい” の如き感覚が確かに二人の間に存在し、勝負の手合いと相成ったわけである。
こんなアマチュアプレーヤーが居るのか? 私は非常に嬉しくなった。その一挙手一投足がゴルファーとして卓越してもいる。
そうしたなか、勝負は彼の1打リードで最終ホールを迎えた。
そこで負けるわけにはいかない私の放ったショットは幸運にもカップから30センチの距離に寄った。そのアマチュアゴルファーは、カップまで4メートルの距離のバーディパットを残している。ともあれバーディ確実の私は、徐に30センチのバーディパットを沈めた。
その時の彼の集中力の高さは、素晴らしかったの一言でしか表現できない。彼のパットは見事な転がりを見せて、そのボールはカップに吸い込まれたのである。彼は、私の「ー2」というスコアに対して「ー3」というスコアで上がった。
プレー終了後、「久々に燃えるプレーが出来ました。楽しかったし興奮しました。是非また教えて下さい」と仰った彼に私は、「私のほうこそ楽しかった。本当に良いプレーを見せて頂きました」と答えた。
事実、1ストローク負けはしたものの本当に嬉しかったのである。
思いも因らない場所で、尊敬に値するゴルファーに出会え、プレーのなかで心を通じ合わせることが出来た喜びを、私は、隠すことが出来ない。