シード選手としてツアーに残れば、生活環境がまるで違います。
かつてのプロツアーは、先般も申し上げた通り、シード選手すべてが「一流プロ」という呼称のもとに、日本全国のアマチュアゴルファーから賞賛を受け、全国のプロゴルファー達からも尊敬を集める「スタープレーヤー達」だったんですね。
シード権を獲った瞬間に超有名人。つまり、シード選手全員が、日本のゴルフ界に於けるスターだったということです。
そこに突出した「AONK」といったプレーヤー達が出るわけですから、そのスター性の高さといったら現在のツアーとは比べものになるはずもありません。
幻のメジャートーナメント=日本マッチプレー選手権は、出場選手が32名という、出場するだけで故郷のゴルフファンが郷土自慢できるほどの狭き門戸を持った試合でした。が、かつては、その日本マッチプレー選手権でさえ、シード選手外の選手が出場権を手にし、好成績を修めてスターダムに伸し上がったことも出来たのです。
現在のツアーでは、シード外の選手が通常の試合に出ることが困難で、可能性を求めるとすれば、チャレンジツアーという下部ツアーで翌年のシード権を獲得すること。
しかし、チャレンジツアーの賞金の低さで全国を転戦することは、いわゆる一般家庭の出の人間には難しいことだと言えるでしょう。
逆に全ての試合の門戸が異様に狭いために、一度シード権を獲得すれば、それを失い難いというメリット(シード選手達の)があります。
そういったなか、こういった『事情』が、ツアーの活性化に歯止めをかけているのではないか? と問題提示をする人間も多いのです。
下から上がることを極力排除しようとしているわけですからね。
プロゴルファーの私でさえ、いま誰がシード権を持っているのかが判らないほど、多くの選手にシード権を渡してしまうゴルフツアー。これが、現在の日本のツアー。
夢、皆無。
そんなプロスポーツに憧れる人なんているはずがありません。