つづき・・・
当時の江連くんが克服すべき問題点の最も大きなものは、プレーリズムの悪さだと私は感じていたわけです。
そんな彼に私が、ツアー競技で確りと戦っていくことを強く望んでいたのは、その一連の問題点を江連くんが、試合の大事な場面を多く経験してさえいけば、必ずや克服できると考えていたからに他なりません。
明らかに私よりも江連くんのほうが、プレーヤーとしてのポテンシャルは高かったように思います。
ところが江連くんは間もなく後に、レッスンプロへと転身し、プレーヤーを育てる道へと進みました。
その後、江連くんと夕食を一緒にする機会があり、彼に、なぜプレーヤーとしての道を諦めたのか? という質問をしました。
その時、江連くんはこう答えたのです。
僕は合田さんの特徴ともいえる一つの才能に欠けているんです。
それは…努力し続ける、という才能です。
「努力する」
これを才能だと捉えることに異論があるように、この江連くんの褒め言葉とも貶し言葉とも取れない一言に私は、彼のプレーヤーとしての限界を見たような気がしたのです。
その後、私は日本プロに優勝し、江連くんはレッスンプロの大家となりました。また、江連くんのレッスンに於ける功績は高く、彼が尊敬に値する人物に成長し得たことに異を挟む余地はありません。
ただ、結果は別として私にも、「努力する」という才能があるとは思えなかったのですが…(笑)